株式会社メディウィルはオンラインセミナー「7月より完全移行！今こそ知りたいGA4アクセス解析超入門」を2023年7月27日に開催しました。講師は株式会社メディウィルの平井貴規が、司会は同社の黒田匠が務めました。本記事含め3回にわたって、当日の講演内容をまとめます。

• 「メディウィル主催セミナーまとめ【中編】～7月より完全移行！今こそ知りたいGA4アクセス解析超入門～」はこちらから
• 「メディウィル主催セミナーまとめ【後編】～7月より完全移行！今こそ知りたいGA4アクセス解析超入門～」はこちらから

はじめに

平井：本日講師を務める株式会社メディウィルのディレクター・平井貴規です。主にクライアントである製薬企業様の、疾患啓発サイトや薬剤サイトの制作・運用に従事しています。その一環としてWebサイトのレポーティングも担当していて、日々Google Analytics（グーグルアナリティクス）等を使ってWebサイトのアクセス解析に取り組んでおります。

本日のアジェンダとゴールは以下の通りです。

アジェンダ

• アクセス解析の基本
• GA4基本レポート
• トラフィック獲得レポート
• ページとスクリーンレポート
• イベントレポート
• GA4 探索レポート
• GA4の数値のズレ・データ保持期間

ゴール

• アクセス解析の基本を理解する
• GA4の基本操作ができるようになる
• アクセスレポートに書いてあることが分かるようになる

Google Analytics4とは？

まずGoogle Analyticsとは、アクセス解析で一般的かつ世界的に用いられているツールで、その4代目にあたるのがGoogle Analytics4（GA4）です。GA4は2020年10月にリリースされた最新版で、しばらくは3代目のGoogle Analytics （通称：ユニバーサルアナリティクス）と並行期間がありましたが、2023年7月1日に計測を終了し、今後のアクセス解析はGA4に一本化されました。そこで改めてしっかりとGA4を学んでいただくことが本セミナーの趣旨です。

本題に入る前に、本日GA4の説明をする際に用いるWebサイトをご紹介します。まずは弊社のコーポレートサイトと、弊社が提供する病院検索サービスのひとつである「東京都 発熱外来病院検索」のWebサイトです。後者は2022年7月にリリースされ、対象エリアは東京都限定ではあるものの、新型コロナウイルス感染症（コロナ）禍において非常に需要が高いものでした。

続いてお客様事例では、旭化成ファーマ様の骨粗鬆症の疾患啓発サイト「骨検」、メディコン様の鼠径部ヘルニア疾患啓発サイトである「そけいヘルニアノート」、そして富士製薬工業様の思春期から更年期までの女性を対象とした健康管理モバイルアプリ「LiLuLa」の事例をご紹介します。

アクセス解析の基本

いよいよアクセス解析の基本を学んでいきます。アクセス解析を学ぶ上で、今日絶対に覚えて帰ってほしい3つのキーワードがございます。

1. ユーザー
2. セッション
3. ページビュー

の3つです。それぞれがどういうものなのか、簡単に図を使いながら説明していきます。

例えば、Aさんは1月10日の朝10時にWebサイトに入り、3ページ閲覧して出て行ったとします。その日の夜8時に再度Webサイトに入り、3ページ閲覧して出て行きました。

さて、この時のユーザー、セッション、ページビューはそれぞれいくつになるでしょうか？

まずユーザーは訪問者数＝訪問した人数を表します。今回の訪問者はAさん1人ですので、この場合ユーザーは1となります。

次のセッションは訪問という意味で、訪問の回数を示す指標です。Aさんは朝と夜の2回訪問しているので、セッションは2になります。

そしてページビューは、閲覧したページの数を意味します。つまり朝3ページ、夜3ページ閲覧しているので、ページビュー数は6です。

それでは今度は皆様に、ユーザー、セッション、ページビューをそれぞれカウントしていただきます。Bさんが1月10日の朝10時に3ページ、翌11日の昼に再度訪問して3ページ閲覧しています。さらに翌日の12日朝11時に1ページ、同日夜8時にまた2ページ閲覧しています。さて、ここまでのユーザー、セッション、ページビューはそれぞれいくつになるでしょうか？

正解は、まずユーザー数は訪問人数なので、今回はBさんひとりということでユーザーは1です。Bさんは今回4回訪問しているので、訪問回数を意味するセッションは4です。ページビューは閲覧したページ数の合計ですので、全部で9ページ閲覧しているためページビュー数は9ということになります。

それでは改めてユーザー、セッション、ページビューについて、それぞれの定義を押さえていきます。ユーザー（UU）はWebサイトに訪問した人数（訪問者数）を表します。これまでユニバーサルアナリティクスを使ってアクセス解析をしていた方は少し注意が必要で、GA4はデフォルトでアクティブユーザーを「ユーザー」としています。

アクティブユーザーとは、1秒以上サイトを表示したユニークユーザーを指します。そのため0.5秒しか表示していないような人は、GA4ではユーザーとしてはカウントしないのです。

セッションはWebサイトの訪問回数なので、期間内に同一人物が複数訪問した場合もカウントします。

ページビュー（PV）はWebサイト内でページが閲覧された回数のことですが、こちらもこれまでユニバーサルアナリティクスを使って分析していた方は少し注意が必要です。ページビューと我々は呼んでいますが、実はGA4では「ページビュー」という言葉は使われておらず、表示回数と表記されています。ただ、「表示回数＝ページビュー」ですので、そのような理解で頭に入れていただければと思います。

いよいよアクセス解析をどのように行うのかご説明していきます。アクセス解析をやる上で非常に大切で絶対に理解してほしいことは、第一にWebサイトの目的はサイトによって様々であるということです。もちろん先ほどご説明したようなユーザー数、セッション数といったWebサイトのアクセス数、記事や読み物のコンテンツであれば閲覧ページ数（ページビュー数）は非常に大事な指標だと思いますが、例えばコーポレートサイトであれば資料のダウンロード数やお問い合わせ数といった点も非常に気になるところだと思います。また、疾患啓発サイトでは、病院検索への移行や症状チェックシートの記入といった、患者さんが少しでも受診に近づくようなアクションを拾いたいのではないかと思います。このようにWebサイトによって、ユーザーにとってほしいアクションは異なるのです。

それではGA4はそういったアクションをどのように計測しているのかご説明します。図で示しているのは、旭化成ファーマ様の骨検のWebサイトのページです。Webサイトに入るときのことを考えていただくと、そもそもトップページから入らなかったり、入ったとしても上から順にページを見ていったりするような人は、あまりいないかと思います。動画を見る人もいれば、テキストのコンテンツを読む人もいれば、すぐ次のページに進んで下のほうにあるボタンを押すこともあるでしょうし、ユーザーはWebサイトの中で様々なアクションをとるかと思います。そういったアクションをイベントと呼びます。こういった様々なイベントを経て、ユーザーはサイトを理解していきます。そしてユーザーの中には、我々が目標として定めているようなイベントを発生させる人たちもいます。そういった目標となるイベントをコンバージョンと呼びます。

イベントやコンバージョンをGA4はどのようにカウントしているのかというと、例えばWebサイトにユーザーが入ってくると、セッションが開始されたり、ページが表示されたりと、イベントがどんどん計測されていきます。動画を見始めると、動画を再生開始した、動画を全部見終わったといったイベントを、別のページに遷移したら、新しいページが表示された、下までスクロールされた、リンクボタンがクリックされたなど、様々なイベントを計測してユーザーの行動を正しく把握しています。

上図のように、GA4はサイト内でのユーザーの動きを、イベントを計測することでモニタリングしています。例えばページ閲覧（ページビュー）、スクロール、動画の再生や視聴完了、クリックイベント、ファイルのダウンロードといった様々なイベントをGA4はカウントしているわけです。

ここまでGA4がどのようにユーザーの動きを捉えているかを学んだところで、いよいよ実際のGA4の画面を見ながらGA4の使い方・見方を押さえていければと思います。上図で列挙しているのは、皆様にも関係ありそうなGA4のレポートを載せています。さらにその中でも利用頻度は様々ですので、今回はとりあえずこれを見ておけばいいのではないかと考えているレポートとして、集客の「トラフィック獲得」レポート、エンゲージメントの「ページとスクリーン」レポートと「イベント」レポートをご紹介して、使い方や指標について学んでいければと思っています。

また、探索というレポートが別途ありまして、こちらは基本的には中上級者の方が自分の好きなようにカスタマイズして、より深掘りした分析をするためのレポートなのですが、今回は少し使い方だけ学んでみようと考えています。初心者の方でも使い方さえ学んでしまえば、自分の好きなレポートを作れて便利だというリアクションもお客様からいただいているので、探索についても簡単にご紹介できればと思っています。