
メディウィルは2025年11月26日、「ライフサイエンス企業とイノベーションをつなぐ架け橋」をコンセプトに掲げたオンライン展示会「Pharma Innovation EXPO 2025」を開催しました。
「Pharma Innovation EXPO」は、ヘルスケア関連企業(製薬企業や医療機器メーカー)へのソリューション提供を目指すイノベーション企業が増加している近年の状況を踏まえ、両者のマッチングを目的に初めて開催しました。当日はアナリストによるデジタルヘルス業界の最新動向に関する基調講演や、「医薬品マーケティングのトレンド」「患者支援・リアルワールドデータ(RWD)活用の最前線」などをテーマにしたイノベーション企業・パートナー企業による講演(計16セッション)を全てオンラインで実施。このほか、出展企業16社の資料がダウンロードできるオンラインブースも開設しました。イベント終了後には、リアルイベントとして政策勉強会&懇親会を都内で開催し、見識や親睦を深めました。
結果的には、事前登録者は857名、16セッションの当日の視聴者数はのべ2,244名、オンラインブースからの出展社の資料ダウンロード合計数は1,160回と大盛況のもとで無事に終えることができました。
関係者に好評だったことから、2026年7月23日(木)・24日(金)に第2回「Pharma Innovation EXPO 2026」の開催を予定しております。
本記事では、当日の出展企業からピックアップした5社の講演及び政策勉強会の内容を簡単に紹介します。
目次
顧客体験を向上させる場として「医師向けサイト」の活用を(株式会社メディクト・下山氏)
製薬企業・医療機器メーカーの医療用医薬品のプロモーションに特化したサービスを提供している株式会社メディクトの下山直紀氏(代表取締役)は、「最新医師調査からみる、顧客の求める医師向けサイトとは」のタイトルで講演しました。
下山氏は、製薬企業が医師に向けた情報発信を強化しており、その一環として医師向けサイト(以下、サイト)の新規開設もしくはリニューアルが盛んに行われていることを紹介。一方でサイトの訪問者数が減少していたり、医師1人あたりのサイト登録数は伸び悩んで横ばいだったりする現状を調査データを基に説明しました。
「働き方改革」によって医師の情報収集の時間が限られ、情報のニーズも変化している中、「医師のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の向上が重要な考え方」と指摘。顧客体験を向上させるためには、サイトを単に情報を掲載する場でなく、顧客データを収集して医師それぞれのニーズや状況に沿った情報を提供する場としていくこと、また別のチャネルやデータと連携したりするためのハブとして活用していくことなどが今後求められると話しました。
価値の高い情報提供のためには医師の理解度上げて(株式会社医薬情報ネット・笹木氏)
製薬企業・医療機器メーカーへデータ・デジタル・リアルの3軸でマーケティング支援事業を展開する株式会社医薬情報ネットの笹木雄剛氏(代表取締役社長)は、「イマドキの製薬マーケティングのリアル ~Medinew調査から分かった現場の課題と打ち手の最前線~」のタイトルで講演しました。
笹木氏は同社が展開するメディア事業「Medinew」の調査結果などを基に、「働き方改革」の影響で医師がMRやMSLと面談する機会や、リアル講演会への参加が減少している現状を紹介。それでも製薬企業に対しては「新たに上市した薬剤の情報」などのニーズがあることから、「1回の発信でより価値の高い情報提供を行うことが重要」と話しました。
価値ある情報は医師によって異なるため、医師の行動データをリアルタイムで収集し、ニーズに応じた情報を最適化していく「ハイパー・パーソラナイゼーション」を目指す必要性を指摘。その基盤である医師個人のデータを統合して医師の理解度を上げていくことの重要性とともに、製薬企業内では「人材・体制の不足」といった課題が浮上していることも説明しました。
目標達成のため現場の「行動の質」の規定・KPI設定が重要(リープ株式会社・荒木氏)
KPIを設定しにくい社員のパフォーマンスや思考力をデータで可視化して支援するリープ株式会社の荒木恵氏(取締役)は、「ブランドプラン実行力を高める─戦略が動くKPI設計のしくみ─」のタイトルで講演しました。
荒木氏は、製薬企業からの「MRや現場のマネージャーが戦略を理解して自分たちのエリアプラン等に落とし込めているか、成果につながるような活動全体を組み立てられているか」といった相談がここ2年ほどで増加していることを紹介。その背景を「企業を取り巻く環境がコロナ禍を経て変化しているなか、多数あるチャネルの中で「ヒトのチャネル」をどう連動させていくかなど、現場に求められる戦略・戦術の実行がより複雑になっている」と推測しました。
自社の調査結果を踏まえ「現場が戦略に沿った行動を取ると事業目標や売上、シェアなどのビジネスゴールを得やすい」と話した上で、ビジネスゴールの達成につながる一方で曖昧な「行動の質」を規定したり、KPIを設定したりする重要性等を事例を交えながら説明しました。
リアルワールドデータを活用した疾患啓発事例を紹介(日本システム技術株式会社・大友氏)
「保険者向けサービス」と「医療ビッグデータ活用」の2軸で医療ビッグデータ事業を展開する日本システム技術株式会社の大友孝裕氏(ヘルスケアイノベーション事業部 営業部 官公庁営業課 課長)は、「リアルワールドデータを活用した保険者連携の疾患啓発事業の提案」のタイトルで講演しました。
大友氏は「保険者を介した潜在患者への疾患啓発は医療データに基づき対象者を特定して受診を働きかける点が最大のメリット」と説明。一方で、疾患によって実施方法から検討する必要がある点を課題として挙げました。また、保険者がもつリアルワールドデータ(レセプトデータ・健診結果データ)によって啓発対象者を特定できるだけでなく、個人に対してその人特有のデータを活用した受診勧奨や事業の効果分析が可能であることを紹介しました。
実際の疾患啓発の事例として、保険者が自走した糖尿病性腎症のケース、製薬企業と連携したCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と肥満症のケースをそれぞれ提示。対象者の特定方法から効果測定までの流れや具体的な勧奨施策等を話しました。
患者への情報提供は行動変容につながる形で(株式会社サンクスネット・桐林氏)
製薬企業向けのマーケティング等を支援する株式会社サンクスネットの桐林東一郎氏(代表取締役社長)は、「地域医療リソースを活用した疾患啓発とアドヒアランス向上支援の最適解」のタイトルで講演しました。
桐林氏は製薬企業が患者へアプローチする際、「正しく薬の情報が伝わらず、アドヒアランスが低下してしまう」「ターゲットの患者に伝えたい情報が届けられない」等といった課題を抱えていることを紹介。同社が薬局を経営した経験を踏まえ、単なる情報提供ではなく「適切な患者に対して必要な情報を、行動変容につながる形で届ける構造が必要」と指摘しました。
講演では、属性・処方情報に基づく情報をリアルタイムで使える電子薬歴システムを使用した同社のプラットフォーム「PUMAP」による、薬局薬剤師へのインプット及び患者への情報提供の仕組みを紹介。薬局のチャネルを活用するメリットとして、「処方データを活用したアプローチが可能」「患者へのプッシュ型のアプローチが可能」「医師とは違う立場で指導可能」などを挙げました。
政策勉強会

リアルイベントとして開催した政策勉強会では、経済産業省の神ふみ子氏( 経済産業政策局 産業創造課)と平井篤氏(商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 課長補佐)がそれぞれ登壇しました。
神氏は「企業単位の規制改革ツールとその活用事例」をテーマに、グレーゾーン解消制度など企業単位の規制改革ツールの概要やそれらの活用事例を紹介。平井氏は「経済産業省における質の高いヘルスサービスの創出・振興について」を演題に、経済産業省が健康・医療・介護分野で担う役割や、民間主導ではエビデンス構築が進みにくい「行動変容による予防・健康づくり」で同省が実施している事業等を説明しました。
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